長年、異業種の仕事に就いていた代表取締役の山口隆さんが、母親の糖尿病がきっかけで出合った農産物「菊芋(きくいも)」。その栄養価の高さと市場での希少価値に可能性を感じ、2011年に「株式会社 阿蘇自然の恵み総本舗」を創業しました。高い機能性を持つ菊芋を中心に、栽培から加工、製造・販売までを自社で手掛けています。現在は菊芋のほか、契約栽培のビーツや桑の葉などの高栄養価の作物を使った自然食品・健康食品の開発・製造、通信販売や代理店販売に加え、OEM供給も行っています。そうした取り組みが認められ、創業8年目にして農林水産省の六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定、並びに経済産業省の地域経済牽引事業の認定を受けています。
阿蘇の麓に畑と工場を持ち、肥沃な大地とミネラル豊富な地下水を活用した栄養価の高い農産物を栽培できる環境が同社の強み。さらに、安心・安全な商品を届けるため、同社の菊芋は農薬を使わず有機肥料のみで栽培しています。生産量は年間約140㌧。高品質の菊芋を生産するため、性質を熟知している代表と数名の社員で栽培から収穫までを行っています。
水溶性食物繊維の一種である「イヌリン」を多く含むなど高い機能性を持つにも関わらず、市場に菊芋製品が少ない理由は、加工の難しさにあります。形状がいびつで栄養豊富な菊芋は、菌が繁殖しやすく長期保存が利きません。同社では、収穫後に素早く乾燥加工を行い、独自の技術で菌の増殖を抑えています。現在も、より確実な加工技術を確立するために、社員一丸となって研究に取り組んでいます。また、衛生的な環境・設備・プロセスで加工を行うため、2018年12月にHACCP対応の工場を新設。栽培・加工・製造までを一貫して行うことで、高品質の菊芋原料・製品の安定供給が可能になりました。山口さんは、「企業は社会の公器。今後も地域との調和を図りながら、地域と共に発展していきたい」と話します。