南阿蘇村の地下水を充填したウォーターサーバー用ボトルを生産しているハイコムウォーターでは、商品在庫を保管・管理し、出荷・発送するための「大津物流センター」(大津町)を2021年から稼働するにあたり、「リーディング企業育成支援事業費補助金(投資分)」を申請。同センターの稼働により、10万本の商品在庫を保管でき、安定的な供給や生産効率の向上に寄与しています。また、同センターは災害時の地域の防災拠点としての機能も整備。「デポ」と呼ぶ同センターを含めた物流拠点を県内に3拠点、さらに大牟田市と宮崎市を加えた計5拠点を配置。県内では、月間2万本を自社配送で届けています。
同社が、「熊本が誇る天然水を熊本のPRと共に発信したい」との思いから開発した「Kumamoto Castle Water(クマモトキャッスルウォーター)」は、熊本城をかたどったペットボトルに南阿蘇の天然水を充填しています。同商品は、1本につき10円を熊本城災害復旧支援金として寄付。2021年から販売を開始し、1年目は40万円を寄付し、2年目は60万円を寄付予定です。「1人でも多くの人に飲んでもらい、南阿蘇の良さを知るきっかけとなれば。水の大切さや天然水の貴重さも伝えていきたい」と語る同社代表取締役の甲斐文祥さん。今後は地下水保全活動の一環として、田植えや稲刈りなどの体験型イベントを含めた啓発活動にも注力する予定です。
トイメディカルでは、現在発売中の塩分吸着サプリメント「デルソル」を機能性表示食品として届け出るため、エビデンスデータの収集を計画し、リーディング企業成長助成補助金を申請しました。機能性表示をする上で必要な臨床評価や臨床試験は、実際にやってみないと結果が分からない半面、非常に費用が高く、中小企業にとっては負担が重いのが実情です。そこで同社では、本事業の補助金を活用。試験費用の軽減やリスク回避を行いながら臨床評価を実施し、明確な方向性が得られたことで事業が一気に進展しました。データの一部で再検証が必要になりましたが、2022年には「塩分吸収を抑制するサプリ」の機能性を表示して販売予定です
慢性腎臓病や高血圧症などの要因の一つに挙げられる「塩分の取り過ぎ」。日本人の成人男女が目標とすべき1日の食塩摂取量は男性7.5g未満・女性6.5g未満とされていますが、男女とも平均約2g上回っている状況です。同社では、熊本大学と共同研究した「塩分抑制技術」を使った製品で、社会的課題である過剰な塩分摂取を減らし、万病のもとである高血圧予防を目指しています。同社代表取締役の竹下英徳さんは、「熊本から世界に健康をお届けする企業となるよう、事業拡大を図っていきたい」と決意を新たにしています。
新たな開発のためには莫大な資金を必要とするバイオ産業。アーク・リソースでは、これまでも「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」など、さまざまな助成金を活用し、多くの研究・開発を行ってきました。本制度の掲げる付加価値額10億円達成のために立ち上げた新事業「創傷治癒に効果的な超微細シルクパウダー」の開発資金として「リーディング企業成長助成補助金」を申請。2017年に採択を受けました。カイコから採れるシルクは人との親和性が高く、安全性・機能性の面から医療分野でも脚光を浴びています。
「そのシルクに可能性を感じ、医療機器や化粧品原料として活用する事業展開を考えています」と話す同社管理グループの山内寿十さん。今後は、化粧品原料や遺伝子組換カイコを利用した研究用試薬を市販することを目指しています。
メイビスデザインが手掛ける最先端LSIの開発には、技術・知識の集積が必要とされるため、人材への投資が不可欠です。そのために同社では、「リーディング企業成長助成補助金」を申請し、新規開発に活用。更に、そうした取り組みを見た県内企業や金融機関からも各種の支援を受けることができ、開発した技術がしっかりと利益を生みました。 単年度事業であり、複数年に渡り獲得することは難しい同補助金ですが、「事業が当初の中期計画(3カ年)を上回る勢いで成長している」「県・金融機関とリスクを共有し、共に躍進するための新たなビジネスにチャレンジしている」「さらに多くの雇用創出を計画している」などの点が認められ、2年連続で獲得。更なる躍進の原動力となっています。
現在、同社では成長戦略の第2弾として、半導体売上で世界有数の企業との取引を予定。この取引開始に伴う「GAFA」※との共同開発を通じて、世界レベルの技術交流や語学、文化交流を生み、グローバルな“人財”集団を熊本から生み出し続けることを目指しています。
※GAFA…Google、Amazon、Facebook、Appleの4つの主要IT企業の頭文字を取って総称する呼称ワイズ・リーディングでは、同社の中核となる遠隔画像診断事業を拡大していく中で、既存の人工知能技術や検査画像、画像診断報告書等を生かした次なる新技術開発のために、リーディング企業成長助成補助金を申請しました。補助金の審査会では自社の強みと事業の先進性を強調。「私たちに(開発が)できなければ、他の誰も行うことができない」との強い思いを込めたプレゼンが功を奏し、2年連続で補助金の獲得が実現。医療の質の向上を図るシステム開発のために、今後も県からのさまざまな支援の活用を検討しています。
現在、医療業界の医師不足、特に放射線科専門医の不足は深刻で、「診断の質をいかに確保するか」が課題となっています。同社の事業は、そうした課題の解決にチャレンジするもので、補助金を得た結果、より密度の濃い研究開発となり、事業拡大や企業の付加価値額向上にも繋がりました。同社代表取締役・中山善晴さんは、「ベンチャー企業にとって研究開発は大きな負担。こういった補助金による支援はとてもありがたい」と話す一方で、今後は人件費に活用できるような補助金が増えることにも期待を寄せています。