縫製業界に欠かせないミシン針販売で世界シェア1 位を誇り、2020 年に100 周年を迎える長野県の「オルガン針株式会社」。その国内製造拠点として1970年に設立されたのが「九州オルガン針株式会社」です。扱う工業用ミシン針は2000種類にも上ります。ニッチな産業であるミシン針は、縫製業界の成熟に伴って激しい競争は落ち着き、安定した利益を得られる事業の一つです。同社では、成熟しきった市場でさらなる付加価値を生み出すため、独自で開発・製造・販売ができる精密部品部門を約10年前に立ち上げました。現在では医療用(注射、点滴等)の針、自動車用エンジンの安全装置で使われるピン、発掘用の測定器(針真弧)など、さまざまな分野の精密部品を製造・販売しています。長野県の他、ベトナムや中国にあるグループ内製造拠点として独自販売・開発機能があるのは九州(熊本)のみ。その強みを活かし、グループ内でも重要な役割を担っています。自社開発マシンによる独自製法で開発からメンテナンスまでを一貫して行えるようになった上、コスト削減に成功し生産性も向上。クライアントのオーダーに合わせたOEM製品の製造も実現するなど、安定した利益率を確保しています。「ミシン針という安定した市場であぐらをかかず、進み続けることが大事。「九州にしかできない事」を追求することが、私たちの存在理由になると考えています」と取締役・管理本部長の江藤怜さん。
「独自技術を持つ針造り企業である歴史を尊びながら、自ら市場と社会の要請を洞察して、誠実に対応する。この企業活動が、企業と社員、そしてお客様の成長・豊かさにつながり、良い循環を産み出していく、そういう企業でありたい。」との企業理念を持つ同グループ。「世の中に役に立つことは何か?」を常に考え、「みんなで幸せになる」ことを実現していくという責任を持ち続けて、まもなくグループ100年を迎えようとしています。「世界シェア1位」は、そうした100年にも及ぶ経験と信頼、そして技術力の結果と言えます。