1985年に設立された「株式会社大津技研」。
バイクや自動車に使用する金属部品の仕上げ加工や研磨作業、機械加工を主力事業とし、船舶関連部品(船外機部品)やマンホールなどの公共構造物も手がけています。
大津町の本社事務所及び本社工場、菊池市の旭志工場、八代事業所、佐賀工場を構えるほか、林業分野へも参入するなど、事業を広げています。
同社は、各種金属製品の製造工程(鋳造等)で発生する残留物を取る「バリ取り」と、高速回転するグラインダー機で金属表面を磨く「羽布(ばふ)研磨」を得意とし、徹底した品質管理やコスト管理、納期スピードなどを強みに成長しました。人の手が必要な同社の業務では、部品1個あたりの作業時間で料金単価が決まり、取引先の要求水準を満たした加工をいかに速く行えるかが重要です。そこで、作業員同士が常に相談しながらきめ細かく作業工程を決め、日報・週報・月報で逐次記録して、作業班ごとに売上高や収益率などを開示。課題の早期発見と対処が可能となり、従業員の士気も高まりました。
その結果、品質、納期、納品量、コスト等での差別化に成功し、受注部品や取引先業種も拡大。また、取引先の分散化などによるリスク低減にも取り組んでいます。
2009年に進出した林業事業では、製造業で培った工程管理などの事業システムを林業の現場に取り入れました。新規参入ながらあらゆる作業の効率化を図り、事業開始から半年ほどで黒字化を達成。作業現場の録画や日報などによる記録、ノウハウの蓄積を進め、作業員の育成や技術の平準化、安全性向上などに努めています。
2020年には、それまで産業廃棄物として処理を委託していた木の根や枝などを、高品質な木質チップに加工する「木質リサイクル工場」を大津町に竣工。
再生可能エネルギー燃料の製造を開始し、林業事業を大きく進展させています。
現在、バイクや自動車がEV化に向かうなかで、使用部品の大幅な減少が将来予想される中、部品製造に関わってきた中小企業は岐路に立たされています。
同社は、これまで培った技術力や事業システムを他製品・他業種にも広げ、社会のニーズに沿った事業展開を目指しています。また、林業分野をさらに推進して、環境保全や循環型社会の構築に寄与する「SDGs」を重視した経営を実践し、これからも地域社会へ貢献していきたいと願っています。