自動車、通信、医療、家電などあらゆる機器に使用され、現代社会に必要不可欠なLSI(大規模集積回路)製品。「メイビスデザイン株式会社」は、2013年に高性能LSI製品の開発・設計、コンサルタントに特化したファブレス企業※として設立され、多様な業界が求めるLSIの設計・開発に携わってきました。
同社は現在、世界的な大手半導体チップ製造（ファウンドリ）5社の製造ラインに対応できる開発・設計ノウハウを持ち、顧客の「この機能を実現したい」「この問題を解決したい」という要望を可能にする高性能LSIを生み出しています。また、同社の高い技術力と開発力、そしてそれに裏打ちされた信頼度の高さから、世界最大手の半導体設計ソフトウエアツール（EDA）ベンダーとパートナー協定を締結。最先端アプリケーションを使った、LSI設計技術や独自の運用ノウハウを強みに、顧客の納期短縮・省力化といった“今までできなかったこと”を可能にしています。
熊本への愛着と家族との暮らしを求め、大手メーカーから独立した10名のハイスキルエンジニアでスタートした同社。マンションの一室から始まったベンチャー企業が信頼と実績を積み重ね、わずか7年で売上高を伸ばして多数の雇用を生み出すなど急成長。また、横浜や札幌にも営業所を開設。顧客とより緊密に連携しながら、日本のモノ作りを進化させています。さらに事業領域を拡大し、設計依頼を受けた半導体デバイス製品を顧客へ直接納品する「ターンキー事業」にも取り組み始めました。
「シリコンアイランド九州」の中心・熊本から世界に向けて、半導体製品の最先端領域を開拓する同社。国際情勢、社会の製品需要など、劇的に変化する業界動向にも幅広いLSI設計技術を核にした商品と先行技術開発で対応し、着実に成長を続けています。近い将来、リーディング企業になることを掲げ、LSIの先端技術を実用化して熊本の半導体産業と関連企業の振興に寄与するべく邁進中。さまざまな顧客と共に、最先端のソリューションを社会に提供し、明るく楽しい未来を創造することが同社の願いです。
※ファブレス企業…自社工場を持たずに製造業としての活動を行う企業を指す造語
県から本制度の案内を受け、今後の事業への活用はもちろん、同社が目指す「自社事業を通じた地域貢献」にも合致することから、リーディング育成企業に申請。2016年12月に認定を受けました。先端技術を開発する知識産業であるため、人材への先行投資が必要な半面、技術開発に成功すれば、それを広く商品化できるという大きなメリットがあります。同社では、本制度の補助金を人的資源の確保・育成に活用し、先端技術の開発・実用化を目指しました。そうした取り組みが実を結び、2016年の熊本地震や昨今の米中貿易摩擦、コロナ禍など、社会的な不安要因が相次ぐなかでも、当初計画を上回る売上で推移。また人材面でも、県内外から多くの優秀な学生が集まり、社員数は増加し続けています。併せて、若手社員が増えたことで、平均年齢の若返りや残業の減少、休暇取得日数の増加などの好循環をもたらしています。育成企業認定から5年が経過し、リーディング企業に求められる「付加価値10億円」も視界に捉えた同社。今後も本制度によるメリットを存分に生かし、さらなる飛躍を狙っています。
起業して間がなく、知名度が決して高くなかった事業認定時に比べ、本制度の社会的評価が功を奏し、同社に対する金融機関や県内企業、教育機関からの信頼性が向上。学生の社会実装型プロジェクト実習の受け入れなども行っています。さらに、コンサルティングや支援の機会を得ただけでなく、県から紹介された他企業とのマッチングも、新規顧客の開拓に繋がりました。また、本制度の補助金事業を活用し、熊本高専と共同研究・開発を進めていた筋電信号や音声センサーを認識する人口知能を搭載した「AIコア(AIチップ）」の開発に成功。この成果を基に、新たに半導体デバイスの設計・製造までを担う「ターンキー事業」へと参入しています。「ルネサスエレクトロニクス」、「トッパン・テクニカル・デザインセンター」など、大手企業とアライアンスを締結。新市場の創造と事業拡大に邁進中です。2021年3月には、「NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)」の“AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業”にも採択され、実用化に向けた動きをさらに加速させています。
LSIの高度な技術を持つ同社は、リーディング育成企業に認定されたことをきっかけに、熊本高専との共同研究やインターンの受け入れ、熊本大学での講義、県内半導体関連企業での設計コンサルティングなど、外部との交流がより活発になりました。これをきっかけとして2021年9月、AIやIoTを用いたビジネスソリューションの展示会「未来innovation in九州」に、熊本高専と開発したAIチップ搭載ロボットハンドを出展予定。機械製造や半導体製造、医療機器分野といったさまざまな業種へPRすると共に、既存の産業領域に新しい技術や他の産業領域を融合することで産業を進化させる「クロスイノベーション」を積極的に進めようとしています。同社は、さまざまな社会課題を解決に導く技術を地域と共有し、また若い技術者が地方で活躍する場を提供することで、熊本の地域産業の活性化に貢献していく考えです。
代表取締役社長 池田浩司さん
弊社は、お客様のオンリーワンパートナーとして喜ばれるサービス・製品を提供し、誠実さと幅広い教養、高い倫理観を持ったグローバル事業を推進すること、そして社員とその家族に「幸せ」を提供することを経営姿勢としています。そのため、ズルイことや間違っていることには意見し、議論し合えるコンプライアンス意識や、上手くいかなくてもコツコツと困難に立ち向かう姿勢、チームワークを大切にしプロジェクトを遂行する力を持った人材を求めています。また、健康促進の補助金制度や家族が参加できるパーティもあり、ベンチャーならではの風通しがよく働きやすい職場環境です。それを証明するかのように、熊本本社では創業以来離職者がゼロであり、そのことも誇りに感じています。
資本金／3,000万円
社員数／62名
（2021年7月現在）
社員数／62名
（2021年7月現在）