東京から熊本にUターンした社長の吉永安宏さんが、2008年に「(株)コムセンス」を設立。当初はウェブ制作やシステム開発が主な業務でした。その後、熊本県の農産品を中心としたインターネット通販に事業の軸を移し、2021年に事業全体を「地方創生マーケティング事業」と定義したことを機に「(株)ローカル」に社名を変更。本社も田崎市場内から熊本駅前に移転しました。
熊本の農産物を販売するインターネット通販事業を本格的に始めたのは、吉永さんの親戚のデコポン農家が販路の開拓に困っており、その打開策としてホームページで販売を始めたことがきっかけでした。これに手応えを感じ、熊本県産の青果などを中心に、自社が運営するネットショップ「くまもと風土」を、楽天市場をはじめとしたインターネットショッピングモールに出店。そこで販売していくことで実績を積みました。また、顧客対応の流れの構築や、光センサーを導入した自社選果場の新設など、人員や設備を拡張することで取扱量を伸ばし、農畜産物の生産・流通業者とも取引を広げて商品を拡充。その結果、楽天市場においては、販売上位の店舗に贈られる「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を、2016年から5年連続で受賞。さらに2021年度に6度目の受賞をするなど、確かな評価を獲得してきました。
さらに、EC販売で得たサイト運営、商品の仕入・出荷、顧客対応などのノウハウを、地方自治体が力を入れる「ふるさと納税サイト」の運営代行のスキームとして取り入れて横展開。現在は熊本県を始め、福岡、岡山、和歌山に所在する多数の自治体をサポートするなど、同社の事業の柱になっています。加えて、飲食店のフランチャイズや「くまもと風土」の実店舗運営なども行い、「EC×地域×食」の事業領域で成長を続けています。
近年、ネット通販のさらなる浸透にコロナ禍も重なり、需要が高まっているECビジネス。同社でも、精肉工場や精米工場を新たに稼働し、それらの商品をECサイトで販売するという流れを強化しています。加えて、コロナ禍で売上が減った県産農林水産物のネット販売や、豪雨被災地応援キャンペーンに参画するなど、社会貢献にも力を入れています。