南阿蘇産の野草やハーブを使った製品を、「南阿蘇TEA HOUSE」「茶房南阿蘇」「t.(ティードット)」のブランドで直営店舗やFC店、通販、卸売で販売している「株式会社クマモト敬和」。以前は製茶(緑茶)販売を行っていた同社ですが、古いビジネスモデルや競合他社との競争で成長に限界を感じていました。そこで、大手百貨店バイヤーからの勧めと、「阿蘇では世界の薬草の約90%が採れる」という情報を得て、ハーブティーや健康茶の販売を始めました。
業態転換当初の4~5年は、試行錯誤が続き販売数も伸び悩みましたが、南阿蘇に店舗を構えて「阿蘇」を全面に押し出したことに加え、アミュプラザ博多内・東急ハンズでの販売をきっかけとして販売数が一気に増加。原料のハーブや薬草の自社栽培を行うために農業生産法人「南阿蘇農園」も立ち上げ、原料生産から商品の製造・販売までをグループ内で一貫して行うことに成功しました。現在、全国に6つの直営店と2つのFC店があり、サクラマチクマモトやアミュプラザくまもとといった県内の大型商業施設へも販路を拡大。アミュプラザくまもとでは、同社初となるイートイン業態「t.ハーブスカフェ」をオープンしました。
同社では、認定を受けた「メディカルハーブコーディネーター」が商品を調合し、顧客の声を開発に直接フィードバックすることで、高い商品力と販売力を実現しています。また、より高品質、より安心・安全な製品づくりを目指して「有機JAS」と「くまもと県版GAP」認定を受けた農地で原料を栽培。さらに、製品の品質を安定させるため、原料の選別工場をベトナムに設立しました。同工場は、南阿蘇農園で働くベトナム人技能実習生が、本国へ帰国した際の就職先にもなっています。さらに、販路の東南アジアへの拡大を視野に、選別作業にとどまらず、製品製造まで行える体制を整えているところです。
現在、ジェトロ(日本貿易振興機構)などとも連携し、急速に発展するベトナムを始めとする海外での事業展開も目指しており、海外で通用する人材教育にも力を入れています。加えて、産学連携・地域企業連携による新製品開発やデザイン研究を積極的に行い、「熊本県知財総合支援」を活用した知財保護にも取り組みながら、さらなる成長を目指しています。