「株式会社H・Iシステック」は、有価金属の回収・販売をしていた先代社長が新時代を見据えて産業用ワイヤーハーネス加工業を始めたのを機に、1984年に創業しました。その後、産業用機械の電源供給や信号通信に用いられる多種多様なワイヤーハーネス製造の実績を積み重ね、さらに電子機器用プリント基板組立や制御盤・ロボットコントローラー組立にも事業領域を拡大。現在では、半導体テスト用機器・治具類の設計・製作事業も手掛け、顧客仕様による多種多様な製品を提供する企業へと成長しました。
同社の半導体テスト用機器の主製品で、LSIなど半導体デバイスを高温下で作動させ不良品を判別する「バーンインボード」および「バーンイン機器」は、デバイスの種類・規格などでテスト機器も変わるため、大量生産には不向きです。このような多品種・少量生産が求められる製品にも、柔軟に対応する技術力が同社にはあります。その他、パワーデバイスのテスト治具やテスト用クロック信号発生回路なども含め、多彩な半導体テスト機器の開発・設計・製作までをワンストップで行っているため、同社の製品は高い信頼性を確保することができます。その信頼性はユーザーからも認められるところであり、国内の大手半導体メーカーにて採用されています。また、“機械の血管”と言われ、電力や電気信号を伝達する多種多様なワイヤーハーネスも多数の設備・装置メーカーに納入しています。加えて、半導体製造工程で問題となる、静電気の発生を抑える導電性ファイルなどの開発・販売も手掛けています。
同社の技術力・信頼性の高さの源は、「社内に3D-CADや電気回路の設計者、プログラム開発者がいることや、0.5㎜間隔以下の半導体リードを正確にはんだ付けできたり、細かく複雑なコネクタ組立ができる熟練技能者を多数擁していること」と語るのは取締役専務・柴田亮さん。開発では県産業技術センターとも連携。技術支援や研究シーズ(種)の移転を積極的に進め、大手メーカーの動向に左右されない新たな自社製品の研究開発にも取り組んでいます。新事業を立ち上げ、経営基盤の安定化と成長を促し、自社ブランドの確立を考える同社。そのためにも地元人材を採用し、培った技術を若手へと伝えることで、顧客企業や製品ユーザーと社会の発展に貢献したいと考えています。