20代の頃から仕事やプライベートで世界中を旅してきた鍛島勇作さんが、各国で飲んだクラフトビールのおいしさやそれを取り巻く豊かな文化などに惚れ込み、2016年に「株式会社ダイヤモンドブルーイング」を設立。同社醸造所でのクラフトビール製造を核に、卸しや販売、オンラインショップ運営、クラフトビールカルチャーを根付かせるための飲食店「Brewery KAEN(ブルワリー カエン)」事業などを展開しています。
日本を含む世界中のマーケットで、商品のストーリーが重んじられる現代。同社では、オール熊本県産のストーリーあるビール作りに取り組んでいます。熊本大学オリジナルの分裂酵母を使用した吟醸酒の香りのするビール開発や、崇城大学や熊本高専八代キャンパス等と共同で採取した熊本県内の各名所の酵母を使用したビール作りなど、世界クラスのクラフトビールを開発・製造するプロジェクトを進める一方で、酵母を染料として利用する研究など、「クラフトビールはサイエンス」という考えのもと、可能性を探っています。
日本のクラフトビール市場は、1994年の酒税法改正で最低製造量が引き下げられ、各地に「地ビール」醸造所が登場するなど急拡大。2000年代に入ると生産量や醸造所数は停滞傾向にありましたが、近年、欧米を中心とした根強いクラフトビール人気や小規模醸造所の増加などで再び注目を集めています。さらに、ビールの税率低下や2026年のビール類の同一税率化などが追い風となり、市場拡大が予想されています。
同社のクラフトビールの特長は、熊本が誇る良質な伏流水や農産物、自然環境を生かした商品を企画し、それぞれに「ストーリー」を込めて作っている点。全国規模のクラフトビール品評会でも受賞歴があり、台湾やシンガポール、フランスへの輸出も行っています。
同社では現在、月間150キロリットル、年間1800キロリットルのクラフトビールが生産できるスペックの新工場の建設に向けて動いています。ここにIoT技術を取り入れた最先端システムを導入して品質や生産力をさらに強化し、365日出荷できる生産基盤の構築を計画中です。県産クラフトビールを世界中に広げることが、同社の企業理念である「本事業を通して地域社会に貢献する」「全従業員の物心両面の幸福を追求する」になると信じ、熊本の活性化に寄与するためにも企業として成長を続けます。