以前は水処理メーカーでエンジニアや技術営業として働いていた「サンエイ化学株式会社」代表の栄鉄舟さん。扱った中でも特に専門性が高く、半導体産業などに用途が限られていた純水製品は、これまでメーカーから商社や仲卸を通じて工場などへ販売される流通ルートが一般的でした。しかし、2000年代に入りインターネットを介した流通が普及してくると、そうしたニッチな製品でも、顧客が直接メーカーから取り寄せることが珍しくなくなりました。いち早くその潮流を掴んだ栄さんは独立を決意。2009年に、水処理用機器や消耗品に特化した「水処理用品.com」を開設し、EC事業を始めました。
同サイトの運営開始から程なく、純水そのものの販売の問い合わせが寄せられるようになり、自社装置を活用して試験的に工業用精製水の製造・販売もスタート。すると、商社などから継続的な受注が入るようになり、2011年には「精製水.com」を開設しました。従来は医薬・工業薬品メーカーが製造し、薬品問屋や小売業者が流通させていた精製水を、“早く・安く・新鮮な状態で”ユーザーに届けるウェブサービスが市場に受け入れられ、OEMや自社サイトの他、大手ネット通販などにも進出。現在では12サイトで取り扱い、同社の事業の柱へと成長しています。
2016年に「サンエイ化学株式会社」を設立。大手メーカーが進出していなかったEC事業や、加湿器、スチーマー用など、ニッチながらも精製水を必要としていた医療・美容業界、個人などの新たな市場を開拓し、急速に事業が拡大しています。最近では、コロナ禍により急増した薬品・アルコールの希釈用として同社の精製水が用いられ、2021年に国の「ものづくり補助金」を活用して新工場の建設・稼働を開始。「プロの発想と技術によって個々のニーズに合ったものを作り出す」ことをミッションと捉え、水処理のさまざまな悩みに対する解決策を提供していく考えです。