現社長・髙木浩二さんの高祖父がアメリカ・シアトルから熊本へと帰郷し、1909年に創業した「肥後製油株式会社」。熊本の豊かな地下水と地元産の菜の花から作る食用油メーカーとして100年以上の歴史を紡ぎ、近年は国産原料を使った「健康」をテーマにした製品作りで高い評価を得ています。また、油脂に関する基準が厳しい「JAS」認定を受けた県内唯一の工場を持ち、機能性の高さに加え、より安心・安全な商品づくりも、同社の特長の一つです。
同社は、自社製品に使用する原料の栄養素を「熊本県産業技術センター」に依頼して調べているほか、社長自ら専門家の講演会に出向いたり、大学のシーズ※を探したりしながら食用油の可能性を探求。その成果の一つが、同社が崇城大学などと連携して開発した、野菜の機能性を備えた日本初の食用油「プラスオイル」です。同商品は、抗酸化物質(リコピン、ルテイン、β‐カロテン等)や鉄分を豊富に含み、野菜のカラフルな色味を残した商品として話題を集め、2016年度には九州地域バイオクラスター推進協議会のブランドデザインコンテストで優秀賞を受賞しました。
また、地元の生産者団体「菊池えごま生産研究会」と協力し、原料のえごまに含まれる栄養素データの収集や同社のコールドプレス製法による搾油も行っています。同社製のえごま油には、α-リノレン酸やポリフェノールが豊富に含まれ、人気商品となっています。さらに、九州地域バイオクラスター推進協議会が実施する、地域素材を活用して健康的なおやつを作る「おやつプロジェクト」にも参加。えごまかりんとうを開発しました。
同社は、食用油を通じて家庭に「健康」を提供することを使命とし、地元熊本の農業・農家と共生していくことが大切だと考えています。そのため、地元の野菜や穀物に加え、規格外などで廃棄される農産物も積極的に活用し、循環型社会の一翼を担う企業を目指しています。
※シーズ…研究開発や新規事業創出を推進する上で必要となる発明(技術)や能力、人材、設備などのこと。また、企業や大学が活用しきれていない技術、特許の有効利用