1997年に、舗装工事を中心に土木・建設業を行う「有限会社天草建設」としてスタート。2011年に、水性ナノ塗料の研究開発を始めたことをきっかけに、社名を「株式会社アマケンテック」と変更しました。
大手道路建設会社での勤務経験を持つ社長・米田賢史さん。会社員時代から舗装材に興味を持ち、固くて弾性が強く、速乾性のある水性ナノ塗料に着目。それまで一般的だった油性系塗料は、発がん物質などが含まれ、人や環境への影響が懸念されていたのに対し、水性系塗料は有害性がなく無臭のため、需要増大が見込まれていました。その後、ナノ化技術の開発と塗料製造機購入を契機に、原料の購入元やネット情報などからヒントを得て独自の蓄光塗料を完成させ、特許も取得しました。さらに研究を重ねた結果、遮熱性や防水性、防滑性などを備えた新塗料を次々と開発。加えて、塗料の原料となる高分子吸水材に着目し、化粧品事業も開始しました。
同社が開発した雑草を防ぐ塗料「クサデナーズ」は、17年6月に国土交通省所管の公共工事における新技術活用システム「NETIS」に登録されました。その後、中部国際空港連絡道路などで採用され、現在は全国から問い合わせを受ける注目製品に成長。さらに19年8月には、橋梁の劣化によりできた舗装面のすき間から水が侵入することを防ぐ塗布型防水工法「ブリッジガード」も同システムに登録されました。同製品は、牛深ハイヤ大橋や天草五橋の4・5号橋などで用いられ、今後も需要増が期待できます。
同社の企業理念は、「郷土・天草を愛し、貢献すること」。その一環として、地元特産の椿油を生かした化粧品「Ring-a-Bell」の開発・販売を開始。人や地球にやさしい商品・サービスの普及・推進を図る「ソーシャルプロダクツ・アワード2018」のソーシャルプロダクツ賞を獲得するなど、すでに高い評価を受けています。現在、売上の約8割を建設事業が占めている同社ですが、今後は独自技術を有する水性塗料を進化させ、さらに強靭な経営基盤を築いて天草・熊本へ貢献することを目指しています。